世田谷パブリックシアター、音楽事業部、生活工房、せたがや国際交流センター、世田谷美術館、世田谷文学館が区内それぞれの拠点で、独自性と創造性に富んだプログラムを展開しています。芸術の輪を広げる活動、次世代を育む活動、地域文化を創造する活動など多彩な取り組みをご紹介します。
世田谷美術館分館 向井潤吉アトリエ館
2023/07/11更新
〈 向井潤吉アトリエ館外観 撮影:上野則宏 〉
2023年7月で開館30周年を迎えました。
東急田園都市線の駒沢大学駅から徒歩10分ほど、世田谷区弦巻の閑静な住宅地の一角に建つ向井潤吉アトリエ館。戦後一貫して伝統的な草屋根民家のある風景を描きつづけたことで知られる、洋画家・向井潤吉(1901-1995)が1933年から亡くなるまで住み、創作の拠点とした場所です。
晩年、向井は「60年もの長いあいだお世話になってきた世田谷区の美術文化の発展と青少年の啓発にお役に立つことができれば」と、自ら私費を投じて自宅兼アトリエを美術館に改装し、約130点の油彩作品、約500点の水彩作品とともに世田谷区に贈りました。こうして向井潤吉アトリエ館は、1993年7月10日に世田谷美術館の最初の分館として誕生しました。
開館以来、全国各地から多くのお客様をお迎えしてきたアトリエ館。庭には武蔵野の面影を伝える雑木が繁り、館内に入るとイーゼル、絵の具箱などが置かれ、向井が愛用した安楽椅子などの民藝家具には実際に座っていただくこともできます。まるで画家のアトリエに招かれたような気持ちで、都会の喧騒からひととき離れて向井作品を味わえる空間としてご好評をいただいています。