SETAGAYA ARTS NAVIGATION せたがやアーツナビメニューを飛ばしてコンテンツへ
公益財団法人 せたがや文化財団

ホームせたがや文化財団とは事業紹介アートルポ広報・メディア
ホーム > アートルポ

アートルポ

世田谷パブリックシアター、音楽事業部、生活工房、世田谷美術館、世田谷文学館が区内それぞれの拠点で、独自性と創造性に富んだプログラムを展開しています。芸術の輪を広げる活動、次世代を育む活動、地域文化を創造する活動など多彩な取り組みをご紹介します。

劇場で過ごす夏休み最後の一日

2018/12/12更新

劇場で過ごす夏休み最後の一日
世田谷パブリックシアター ワークショップ
『みんなよりちょっと先輩の話聞いてみない?』

世田谷区内の中学校2018年の夏休み最終日である9月2日に、世田谷パブリックシアターの稽古場で行われた『劇場ですごす夏休み最後の一日「みんなよりちょっと先輩の話聞いてみない?」』に劇場スタッフのひとりとして参加しました。
学校生活や日常の中で生きづらさを感じている中学生と、同じように中学時代に生きづらさを感じたことがある先輩が、その経験を話し、そのエピソードや感じたことの中からでてきた言葉でカルタの読み札・絵札をつくり遊んでみよう!という企画です。
当日は約20名の中学生のみなさんが参加、それから先輩役の大学生3名と進行役の3名、急遽“プチ先輩”として加わった高校生2名、世田谷パブリックシアターのスタッフ数名が同じ時間を過ごしました。

まず最初にゲームや他己紹介を行いお互いのことを少し知った後、床に座布団を敷いて、寝転んだりお菓子を食べたりしながら先輩の話を聞きました。そして、カルタをつくる前に設けられたのが質問タイムです。はじめこそ先輩に対する質問が中心でしたが、徐々にプチ先輩の高校生や中学生同士での意見交換もはじまり、進行役や劇場のスタッフ、先輩と中学生のみんなで話し合う場へと変化していきました。その話し合いからでてきた言葉や生まれた言葉を使って参加者それぞれがつくったカルタは、学校を卒業してしまった私にとっても、日常で感じている不安や生きづらさに寄り添い、吹き飛ばしてくれるような読み札の41組のカルタになりました。

今回は中学生に限定した企画でしたが、世田谷パブリックシアターでは赤ちゃんから大人まで様々な方を対象にした演劇ワークショップを行っています。また、今回のように他の人の話を「聞く」という企画を行うかもしれません。自宅と学校・職場以外の居場所の選択肢のひとつとして、気になる催しがありましたら世田谷パブリックシアターに足を運んでみてください。  [文:世田谷パブリックシアター広報 浅利瑠璃]


『にんげんは しゃべり方を忘れてしまう』

家にいたとき、一日中人と話すことがなくなり、どうやって声を出すのか忘れてしまって「人って話すの忘れちゃうんだなぁ」と思った。
というエピソードより


『ノー!というのは難しい・・・!』

続いている関係の中で何かを拒否することには、体力をつかう。
というエピソードより


『なんとなし 空を見上げて ほっと一息』
犬の散歩中、風が流れる田んぼ道。
ふと空を見上げたら、まだ生きられる気がした。
というエピソードより


生活工房 『ミャオ族の刺繍と暮らし展』より

2018/12/09更新

生活工房   『ミャオ族の刺繍と暮らし展』より
クライム・エブリ・マウンテン vol.1<2017年11月11日〜12月10日展示>

山々に踊る、家族のためにつくられた美しき衣装

生活工房では昨年より、世界各地の山岳地に住む人々の暮らしを紹介していくシリーズ展示「クライム・エブリ・マウンテン」を始動しました。第1弾として取り上げたのは、中国西南部・貴州省の山岳地帯に多く暮らす、ミャオ族(苗族)です。
実はこの展覧会の始まった時期(11月中旬)は、ミャオ族の暦で新年を迎える頃。ミャオ族の村々では、棚田の稲刈りの終わった地域から順に、お正月の準備をするのです。その他にもたくさんある祭礼や、農耕の時節などミャオ族の一年を紹介しながら、「苗族刺繍博物館」(常滑市)からお借りした美しい民族衣装など60点を展示しました。

ミャオ族の衣装は、驚異的に緻密で美しい刺繍で知られています。しかしそれは、裕福な人たちがだけが着るものではありません。男女の出会いの場でもある祭りの際に着て美しく映えるよう、少女たちが競い合って作ったり、母が娘のために作ったりしたものです。なかでもとくに細かな詩集を施すのは、幼子のためのもの。赤ちゃんの背負い帯は、「布目から魔が入る」という言い伝えもあって、下の布地が見えないほどにびっしりと刺繍で埋め尽くします。その厚みを持った刺繍を見ていると、環境の厳しい山地で幼い命を守るために、ひと針ひと針に祈りを込める母の無償の愛が伝わってきます。

展覧会の最中、よく来場者からこんな質問を受けました。「これだけの刺繍をするのに、どのくらい時間がかかったのですか?」――さて、いったいどれほどの時間がかかったのか・・・。自給自足の生活の中では、おそらく丸一日刺繍をしている、などということはないでしょう。野良しごとの合間合間に、懐から小さな布をとりだしては、針を刺す。その布片を服に縫いとめて、このような重厚な衣装が出来上がるのです。さらに糸の材料(綿、絹)を育て、紡ぎ、染め、織るのも自身でやっていることを考えると、この服1点に凝縮された時間の途方もなさを感じます。

展覧会場で来場者が目にしていたのは、刺繍の中に確かに縫い込まれた、ミャオ族の人びとの「祈り」であり、「時間」であったのかもしれません――。

「クライム・エブリ・マウンテン」シリーズ第2弾は、2018年9―10月に「漆がつなぐ、アジアの山々」展と題して、中国から東南アジアまで山地帯で作られている多種多様な漆器を取り上げました。さあ、第3弾はどの山に登ることになるのでしょうか。 
 [文:生活工房 竹田由美] [撮影:田中由起子]



世田谷パブリックシアター@ホーム公演

2018/07/31更新

世田谷パブリックシアター@ホーム公演
劇場から、地域へ暮らす人たちへ劇を運ぶ ー全14公演を終えて

『チャチャチャのチャーリー 〜さようなら涙くん〜』

脚本・演出:ノゾエ征爾
出演:山本光洋 たにぐちいくこ 井本洋平 田中馨 ノゾエ征爾

 劇場へなかなか足を運べないかたがたに、気軽に演劇を楽しんでもらおうと、2010年からはじまった「あっとホーム公演」。9年目を迎えた今年は、新作『チャチャチャのチャーリー 〜さようなら涙くん〜』を、区内の高齢者施設と障害者施設14か所で上演しました。
 物語の舞台は、海の向こうの架空の国「ポンピン王国」。なんとその国の人たちは、キューピー魔女によってゼンマイ仕掛けにされていて、ゼンマイを巻き続けないと止まってしまうのでした!たまたま、海で荒波にのまれてその国に流れ着いたあやつり人形チャーリーと鼻デカ弟は、彼らを助けるため、魔女が住む森へと向かいます・・・!
 上演時間は35分。そのなかに、冒険あり笑いあり涙あり。さらに、観ている人たちが劇に参加できるようなしかけを盛り込みました。あとで施設の職員さんからは、「一緒に手をつないだり、身体を動かしたり、みなさんが一体感を持って楽しまれていた」「朝から、どんな演目?何をするの?とワクワクされていた」「役者さんのイキイキした演技に引き込まれ、表情がとても明るくなっていた」「歌が苦手な人が一緒に歌っていた」「“観劇を楽しむ”ことは正直、難しいのではと思っていたが、みなさん楽しまれている様子で驚いた」など、うれしい感想をいただきました。
 この劇の最後の場面で鼻デカ弟は、この王国に残ってみんなのネジを巻く手伝いをすることを決め、「涙くんさよなら」を歌いながらチャーリーと別れます。その役を演じ、6年間あっとホーム公演で熱演してきてくれた俳優・井本洋平さんも、これが卒業公演でした。公演が終わり、職員さんがマイクをもって観たかたがたに感想をたずねると、井本さんの新たな船出にもらい泣きしたり、「がんばってね」と声をかけるかたも。いつにも増して目がしらが熱くなる公演でした。   [文:あっとホーム公演 制作 小宮山智津子]



乳幼児向けワークショップ

2018/04/25更新

乳幼児向けワークショップ
『あかちゃんのための えんげきワークショップ 〜物語にとびこもう』

地域に開かれた劇場、世田谷パブリックシアターでは、年間を通じ参加対象も多彩に様々な演劇ワークショップを行っています。その中でも、乳幼児向けのワークショップはすぐに募集定員に達してしまう人気ぶり。2018年3月2日に世田谷パブリックシアターの稽古場で行われた1歳半から3歳対象の『あかちゃんのための えんげきワークショップ 〜物語にとびこもう』の様子をご紹介します。

今回の進行役は、乳幼児と大人のための演劇作品作りやワークショップ活動を展開している俳優、演劇教育者の弓井茉那(BEBERICA)さん。参加した14人のあかちゃんとその保護者が会場のマットの上を自由に歩きながら互いにあいさつするところから始まります。その後、手と手でタッチ、おしりとおしりを合わせてあいさつなど身体を使いながら気持ちをほぐしていきます。次に、進行役がたてるささやかな音に耳を澄ませたり、大人があかちゃんの動きを真似してみたりと、あかちゃんも大人たちも飽きさせません。やがて照明が暗くなり、波の音とともに海の光が映し出されると、イカやクラゲが登場します。あかちゃんは小魚になって海の中へ。仲間と一緒に遊んだり、ごはんを食べたり、サンゴのかげで眠りについたり一日を楽しく過ごします。ところが散歩の途中で大きなクジラにのみ込まれて大ピンチに。でも、最後にはみんなで力をあわせて脱出します。
物語にとびこんだあかちゃんにとって、五感がたっぷりと刺激される豊かな時間となりました。また、大人にとっても子どもと過ごす毎日へ沢山のヒントがあったのではないでしょうか。

●今後のワークショップについては劇場ホームページでお知らせします


  





世田谷パブリックシアター演劇部 中学生の部

2018/03/19更新

世田谷パブリックシアター演劇部 中学生の部

「演劇」を日常のなかに、あるいは「日常」を演劇にとりいれる

2月のある土曜日、世田谷パブリックシアターの稽古場に、学校も学年も様々な12人の中学生が集まり、「登場人物をつくる」というワークショップに取り組んでいました。ゲームのような自己紹介に始まり、ペアになって体を動かし、おしゃべりし、そして、この日のメイン、「登場人物をつくる」活動へと向かっていきました。

これは、2013年度から始まった中学生を対象としたワークショップ『世田谷パブリックシアター演劇部 中学生の部』でのひとコマ。 「学校に演劇部がない」、あるいは「違う部活に所属をしていて兼部ができない」。それでも「演劇をやりたい!」と思っている中学生たちが集まり、日常の生活では出会えない仲間と意見を交わし、 身体を動かしながら、そこから生まれるコミュニケーションをベースに演劇づくりをしています。

創部のきっかけは、当時演劇部のなかった、とある世田谷区立中学校の副校長先生が、部活で演劇をやりたいという生徒の要望を世田谷パブリックシアターに相談したことでした。
同じ頃、演劇部のある区立中学校からも「同じ教員が複数の部活の顧問を兼任していて十分な指導が難しい」などといった状態を聞いていた世田谷パブリックシアターは、これらを受けて区立中学校演劇部の活動支援を始めたのです。そしてこの支援をしていく中で、どうしても演劇部をつくれない学校があることや、演劇部に所属していなくても演劇に興味をもっている中学生が多くいることなど、様々な事情を知りました。 こうして、「学校個別の部活動」へ向けた支援から「演劇部であってもなくても、演劇に興味のある中学生たち全体」に向けた支援へとカタチを変え、『世田谷パブリックシアター演劇部中学生の部』となったのです。劇場が中学生に向けて「場所(稽古場)」と「演劇の専門性(スタッフ)」を提供し、ワークショップを通して中学生の今しかできない演劇をつくるサポートをしようという、公共劇場ならではの創造活動支援といえるでしょう。

もちろん、この演劇部は俳優養成所ではありませんし、そのための専門的なレッスンをするわけではありません。「台本が与えられ、それを読み、覚えて、舞台で表現する」という学校演劇のイメージとも異なります。ここでは、中学生の日常の生活のなかにある演劇的なものを探したり、自分や他者の言葉から演劇的な言葉をつむいだりしながら、演劇(的なもの)をつくっています。

舞台を観るのが好きだったり、演劇に興味のある中学生はもちろんですが、演劇をやったことがなくてもあまり演劇を観たことがなくても大丈夫。ふだんの生活のなかにあることが、すでに演劇づくりの一つの要素なのです。きのうまで全然知らなかった人といろんなことを話して、自分の思いを伝えたり、他人の気持ちを受け止めたりしながら、みんなでひとつの演劇をつくる。これって結構気持ちのいいものです。そんな体験を求めて、ぜひ『世田谷パブリックシアター演劇部 中学生の部』へアプローチをしてみてはいかがでしょうか。

演劇は日常にあふれています──。

『 世田谷パブリックシアター演劇部 中学生の部』は、1年間を第一期(5〜7月)、第二期(9〜11月)、第三期(1〜3月)に分けて実施しています。第一期は「演劇を構成する要素」、第三期は「中学生の興味・関心」をテーマに短期複数回のワークショップを、第二期では台本を用いずに参加者自身が考えて演劇作品をつくる、長期間のワークショップを実施しています。 これまでの第二期では、2013年度は古典『竹取物語』を自分たちの感覚で演劇作品にし、14年度は「お金」というテーマからオリジナルの物語『人類と金』をつくり、区立中学演劇部の発表会である世田谷区立中学校演劇発表会へエキシビションで参加、発表しました。

※これからの部員募集については、劇場ホームページやチラシをご覧ください。