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アートルポ

世田谷パブリックシアター、音楽事業部、生活工房、せたがや国際交流センター、世田谷美術館、世田谷文学館が区内それぞれの拠点で、独自性と創造性に富んだプログラムを展開しています。芸術の輪を広げる活動、次世代を育む活動、地域文化を創造する活動など多彩な取り組みをご紹介します。

世田谷美術館 映像作品「夢の解剖――猩々乱」

2021/12/07更新

世田谷美術館 映像作品「夢の解剖――猩々乱」
画像撮影:今井智己

パフォーマンスシリーズ「トランス/エントランス」特別篇
世田谷美術館のエントランス空間を活かし、アーティストの実験的な表現の場とする「トランス/エントランス」は、2005年以来16回にわたって開催してきたパフォーマンスシリーズです。回を重ね、近年は「美術館の空間と身体の対話」というテーマが重要性を増し、それに対するアーティストの応答も多様なかたちでなされてきました。
第17回の今回は、特別篇として異色の国際コラボレーションに挑戦。コロナ禍により、約1年間延期しての開催となった本企画では、ニューヨークを拠点に国際的に活躍し、日本文化に造詣の深いイタリア人振付家・演出家のルカ・ヴェジェッティが、能の演目を美術館に招き入れました。
 名だたる能楽師たちを出演者に迎え、夜の世田谷美術館で「猩々乱(しょうじょうみだれ)」を演出したものです(2021年10月5日・6日)。まさに異次元の世界が開かれ、大きな讃嘆の声をいただきました。この稀有な舞台をたくさんの方に届けるために、本格的な映像作品の制作にも挑みました。映像制作にあたっては、世田谷美術館で長らく映画ワークショップの講師を務め、国内外で注目される映画監督・杉田協士をプロデューサーに迎えました。議論を重ね、緊張感ある濃密な作品世界が生まれるに至っています。2021年12月から2022年3月末までの期間限定で有料動画を配信中です。ぜひ、建築空間を存分にいかした本作品の幽玄な世界をご堪能ください。

シテ・長山桂三、ワキ・森常好、笛・藤田貴寛、小鼓・大倉源次郎、大鼓・大倉慶乃助、太鼓・林雄一郎、地謡・観世銕之丞、後見・鵜澤光、原案及び演出・ルカ・ヴェジェッティ、企画制作・塚田美紀、映像プロデューサー・杉田協士

作品についての詳細、動画の視聴方法は、世田谷美術館のホームページをご覧ください。こちら


世田谷パブリックシアター主催公演の受賞報告

2021/04/20更新

世田谷パブリックシアター主催公演の受賞報告
画像提供:読売新聞社「第28回読売演劇大賞授賞式」

2020年の受賞についてお知らせいたします。


『メアリ・スチュアート』
2020年1月27日〜2月16日 会場:世田谷パブリックシアター

●第13回 小田島雄志・翻訳戯曲賞
主催団体:世田谷パブリックシアター


『殺意 ストリップショウ』
2020年7月11日~26日 会場:シアタートラム

●第55回 紀伊國屋演劇賞 個人賞 
鈴木杏

●第28回 読売演劇大賞 大賞・最優秀女優賞 
鈴木杏
対象作品:『殺意 ストリップショウ』『真夏の夜の夢』(東京芸術劇場)

●第71回 芸術選奨 文部科学大臣新人賞(演劇部門) 
鈴木杏
『殺意 ストリップショウ』ほかの成果に対して


世田谷パブリックシアターx東京グローブ座
『エレファント・マン THE ELEPHANT MAN』
2020年10月27日〜11月23日 会場:世田谷パブリックシアター

●第28回 読売演劇大賞 杉村春子賞・優秀男優賞
小瀧望
対象作品:『エレファント・マン THE ELEPHANT MAN』


現代能楽集X『幸福論』〜能「道成寺」「隅田川」より
2020年11月29日〜12月20日 会場:シアタートラム

●第28回 読売演劇大賞 選考委員特別賞・優秀作品賞

●第28回 読売演劇大賞 優秀演出家賞
瀬戸山美咲

●第28回 読売演劇大賞 最優秀スタッフ賞
齋藤茂男
対象作品:『アルトゥロ・ウイの興隆』(KAAT神奈川芸術劇場)
「現代能楽集X『幸福論』〜能『道成寺』『隅田川』より」の照明


「作品のない展示室」 世田谷美術館

2020/09/09更新

「作品のない展示室」 世田谷美術館
≪2020年7月4日〜8月27日開催≫       
「作品のない展示室」は、窓越しの眺めをはじめ公園美術館としての建物そのものの美しさを見てもらうという企画です。
いつもとは異なる展示室の開放的な空間にSNSや口コミで評判となり、約2か月の開催期間に来場者は1万6千人を超えました。

 新型コロナウイルスの影響で、多くの美術館と同じく世田谷美術館も予定していた企画展がやむなく中止となりました。予定が空いた期間の展示室をどう活かすかを職員で話し合う中で、展示室の空間や美術館の建物に親しんでもらう機会にと「作品のない展示室」を企画し、その開催を決めました。

 世田谷美術館は1986年(昭和61年)の開館。「健康な建築」を唱え、自然界に息づく秩序やかたちを建物に取入れた建築で知られ、また吹上御所の設計も担当した、建築家・内井昭蔵(1933年〜2002年)の設計です。砧公園の豊かな自然と調和した開放的な空間に、公園の緑に溶け込むよう窓の多いつくりになっていますが、作品保護のため通常は展示室の窓はふさがれています。

 「作品のない展示室」では、展示室の約千平方メートルという空間を感じられるように、可動式の仕切りは全て取り払い、空の展示ケースもあえてそのままに見せました。そして、窓のガラス越しに緑の深まった中庭やテラス、クヌギの大木を眺めることができるようにしました。がらんとした展示室の空間と、窓枠で切り取られた景色と建物の美しさを楽しみながら、ベンチに腰掛けたり、写真を撮ったりと思い思いに過ごす来場者の姿が見受けられました。
 SNS上の感想には、「大きな窓から見える景色が絵画のよう」「心の視野が広がる時間」「この美術館そのものが作品」「心に余裕をもたらす素敵な空間」「先の見えない昨今の人々の気持ちを代弁するかのような展示だが、その空白に射し込む光には強く魅かれた」等、職員の予想を超える好評が多く寄せられました。新聞各紙でも展示室の写真とともに大きく取り上げられ、絶えず幅広い年齢層の来場がありました。
 副館長の橋本善八は、内井昭蔵の建築思想である自然との調和について、美術館の建物の内側から開け放すことで実感してもらえたのではないかと話しています。

 ギャラリーの一室では、コロナによる中止の企画展も含め、開館以来の195の企画展のポスターを映写機で写し振り返りました。企画展に合わせ館内で行ってきたダンスパフォーマンスの記録映像も流し、世田谷美術館の多彩な活動を紹介する機会にもなりました。8月27日には「作品のない展示室」クロージング・プロジェクトとして、パフォーマンス「明日の美術館をひらくために」を行い、その様子は世田谷美術館ホームページの世田美チャンネルで公開します。
詳しくは、こちらをご覧ください。

展示室の様子


世田谷パブリックシアター@ホーム公演

2020/04/01更新

世田谷パブリックシアター@ホーム公演
11年目に突入する
談:小宮山智津子(担当プロデューサー)  取材・構成:川添史子

――世田谷区内の特別養護老人ホームなどで芝居を上演する《世田谷パブリックシアター@ホーム公演》が今年11年目を迎えます。この事業がスタートしたそもそもの経緯から教えてください

 世田谷パブリックシアター開場準備室から劇場の業務に携わってきましたが、初代芸術監督の佐藤信さんの方針でもあり、スタート時から自分でも取り組みたかったのが、演劇に興味がある方だけでなく、劇場に来たことがない方たちと劇場をつなぐために何ができるかでした。例えば2003年から2011年に実施した《世田谷パブリックシアター@スクール公演》では、オリジナルの参加体験型の芝居を俳優たちとつくって世田谷区の小・中学校で上演し、子どもたちの反応もとても良かった。この手応えを踏まえて次の展開として考えたのが、劇場に足を運べない高齢者の方たちへ向けた《@ホーム公演》で、2009年に企画案をまとめ、2010年に5つの施設で試演、本格的に始動したのは2011年でした。

――まず試演されたんですね。

 はい。試演段階で施設の方たちが「いつもは寝てしまう人、途中で立ってしまう人が最後まで観ていた」「見たことのない表情を浮かべていた」と、まず驚いてくださったんです。外部から人がやって来て、手が届くような場所でお芝居をする・・・・・アートを介すると、日常にはないことが可能になるんですよね。あの時、各施設の皆様が門戸を開いてくださったことで実現した事業だと感じます。

――初年度から関わるノゾエ征爾(脚本・演出・出演)さんは、ご自身の舞台作品に《@ホーム公演》での体験が生きていると話していらっしゃいます。現在では高齢者の大群集劇なども手がけていますし、アーティストへの影響も生んだ事業です。

 アーティストに地域に根ざした新たな機会をつくり出すのは、公共劇場の企画制作者だからこそできること。ノゾエさんにとっても一つのチャレンジだったと思いますし、現在まで取り組む熱量に変化はありません。一回一回が真剣勝負であるという点では俳優たちにとっても通常の舞台と変わりませんし、彼らが持つ技術と集中力は場の空気を一瞬で非日常に変えられる。これは年齢に関係なく理屈なしに伝わりますし、彼らの表現に一途なところを常に信頼しています。

――10年間の変化、今後の目標について教えてください。

初年度の公演で、俳優が《ふるさと》を歌ったら、皆さんが一緒に口ずさんでくださった瞬間は印象的でしたね。それ以来ノゾエさんも必ず全員で歌える場面を入れています。施設職員さんの出演箇所もあるのですが、皆さんの演技が上手くなってきたのも変化の一つ(笑)。「今年も世田谷パブリックシアターさんが来ましたよ〜」と、各施設の皆さんの日常会話に劇場名が自然と出てくるのがうれしいですね。4、5年前からは障害者施設からも申し込みが入るようになり、自然な形で広がりが生まれています。とはいえ、やるべきことは劇場公演と同様、「興味を持っていただける作品をつくる」こと。初心に返り、気を引き締めて取り組んでいきます。
                                     

[撮影:梅澤美幸]

【お知らせ】
6月に上演を予定していた「あっとホーム公演」は、新型コロナウイルス感染症の拡散防止のため、本年度の公演を中止することといたしました。
公演を楽しみにしてくださっていた施設の利用者さま、職員のみなさまには大変申し訳ありません。
一日も早い収束を祈るとともに、また「あっとホーム公演」でお会いできる日を楽しみにしています
世田谷パブリックシアターHP@ホーム公演


職場体験のご報告

2019/12/02更新

職場体験のご報告
                   〈巻子の取り扱い訓練2015年〉

世田谷文学館

中学生学芸員の活躍
 2006年度から、当館は世田谷区立中学校の「職場体験」プログラムに参加しています。これまでの13年間で135名(2019年10月末現在)を受け入れました。中学2年生が体験する職種は、博物館の事業運営を担う学芸員の仕事が中心となります。図書資料の整理や、展示と催事のお手伝い、そして受付での接客など、実際の業務を体験します。近年では展示資料の解説文作成や、大学生との共同実習など、内容も多岐に亘っています。

スタッフにとっても、大切な体験
 職場体験は、私たちスタッフにとっても特別なものです。1人ひとりとの出会いには、それぞれ物語がありますが、今回、思い出深い活動をご紹介します。
 それは、支援プログラムで特別にご一緒した、中学3年生との活動です。作業は、納品された冊子の見返しにDVDを貼って、「小中学生向け事業」の報告書を完成させる内容でした。初日、作業が単調なためか、2人の緊張感は乏しくなり、作業効率が落ちていきました。そこで翌日は「その都度小分けに渡される材料を、時間計測しながら組み立てる」、「良いアイディアを思いついたら試してみる」をルールに再開したのです。作業を区切り、時間を計ることで緊張を促し、業務の効率化を図れると考えたのです。「次の材料をください!」。開始早々、張り切って1回目のノルマを達成したのは、B君でした。前日には「今日は、天気予報で午後から雨だって。〇君は傘を持ってでかけたかな?」と、作業に身が入らず空ばかり眺めていた彼は、仕事に熱意を持ち始めたのです。勿論A君も、回を追うごとにそのスピードを速めていきました。
 2人の作業に差が生じ始め、そろそろルールを解除しないといけないと感じた時でした。「はい、出来ました。自分の分をやらずに、次はA君を手伝ってもいいですか?」……。B君は、自分で最も良い方法を考えたのです。単純労働の競争が善意の奉仕へと、職場体験が質的変化した瞬間でした。目の前には報告書とDVDと両面テープ。ただ、テープを貼るという行為の中に、様々な気づきが隠されていました。「実験して、ごめんね。次は昨日みたいに、一緒に楽しくやろうね」、「うん。でも、今日も午後から雨だって、X君大丈夫かな?」。その後は会話を楽しみながらも、当初は無理であろうと思われていた目標500点の作業を完了することが出来ました。仕事を通じて人が輝けることを、職場体験の中学生は教えてくれます。私は空を見上げると、彼らの笑顔を思い出します。   [文:世田谷文学館 佐野晃一郎]