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コミュニティプログラム

地域にとどけるアートの種

せたがや文化財団の事業運営の特徴の一つは、「コミュニティプログラム」です。
地域における文化・芸術の普及や次世代へ向けた育成活動を積極的に行なっています。生活デザイン、舞台、音楽、美術、文学の分野で活動するせたがや文化財団ならではの、多彩な取り組みをご紹介します。


世田谷パブリックシアター@ホーム公演

2018/07/31更新

世田谷パブリックシアター@ホーム公演
劇場から、地域へ暮らす人たちへ劇を運ぶ ー全14公演を終えて

『チャチャチャのチャーリー 〜さようなら涙くん〜』

脚本・演出:ノゾエ征爾
出演:山本光洋 たにぐちいくこ 井本洋平 田中馨 ノゾエ征爾

 劇場へなかなか足を運べないかたがたに、気軽に演劇を楽しんでもらおうと、2010年からはじまった「あっとホーム公演」。9年目を迎えた今年は、新作『チャチャチャのチャーリー 〜さようなら涙くん〜』を、区内の高齢者施設と障害者施設14か所で上演しました。
 物語の舞台は、海の向こうの架空の国「ポンピン王国」。なんとその国の人たちは、キューピー魔女によってゼンマイ仕掛けにされていて、ゼンマイを巻き続けないと止まってしまうのでした!たまたま、海で荒波にのまれてその国に流れ着いたあやつり人形チャーリーと鼻デカ弟は、彼らを助けるため、魔女が住む森へと向かいます・・・!
 上演時間は35分。そのなかに、冒険あり笑いあり涙あり。さらに、観ている人たちが劇に参加できるようなしかけを盛り込みました。あとで施設の職員さんからは、「一緒に手をつないだり、身体を動かしたり、みなさんが一体感を持って楽しまれていた」「朝から、どんな演目?何をするの?とワクワクされていた」「役者さんのイキイキした演技に引き込まれ、表情がとても明るくなっていた」「歌が苦手な人が一緒に歌っていた」「“観劇を楽しむ”ことは正直、難しいのではと思っていたが、みなさん楽しまれている様子で驚いた」など、うれしい感想をいただきました。
 この劇の最後の場面で鼻デカ弟は、この王国に残ってみんなのネジを巻く手伝いをすることを決め、「涙くんさよなら」を歌いながらチャーリーと別れます。その役を演じ、6年間あっとホーム公演で熱演してきてくれた俳優・井本洋平さんも、これが卒業公演でした。公演が終わり、職員さんがマイクをもって観たかたがたに感想をたずねると、井本さんの新たな船出にもらい泣きしたり、「がんばってね」と声をかけるかたも。いつにも増して目がしらが熱くなる公演でした。   [文:あっとホーム公演 制作 小宮山智津子]



乳幼児向けワークショップ

2018/04/25更新

乳幼児向けワークショップ
『あかちゃんのための えんげきワークショップ 〜物語にとびこもう』

地域に開かれた劇場、世田谷パブリックシアターでは、年間を通じ参加対象も多彩に様々な演劇ワークショップを行っています。その中でも、乳幼児向けのワークショップはすぐに募集定員に達してしまう人気ぶり。2018年3月2日に世田谷パブリックシアターの稽古場で行われた1歳半から3歳対象の『あかちゃんのための えんげきワークショップ 〜物語にとびこもう』の様子をご紹介します。

今回の進行役は、乳幼児と大人のための演劇作品作りやワークショップ活動を展開している俳優、演劇教育者の弓井茉那(BEBERICA)さん。参加した14人のあかちゃんとその保護者が会場のマットの上を自由に歩きながら互いにあいさつするところから始まります。その後、手と手でタッチ、おしりとおしりを合わせてあいさつなど身体を使いながら気持ちをほぐしていきます。次に、進行役がたてるささやかな音に耳を澄ませたり、大人があかちゃんの動きを真似してみたりと、あかちゃんも大人たちも飽きさせません。やがて照明が暗くなり、波の音とともに海の光が映し出されると、イカやクラゲが登場します。あかちゃんは小魚になって海の中へ。仲間と一緒に遊んだり、ごはんを食べたり、サンゴのかげで眠りについたり一日を楽しく過ごします。ところが散歩の途中で大きなクジラにのみ込まれて大ピンチに。でも、最後にはみんなで力をあわせて脱出します。
物語にとびこんだあかちゃんにとって、五感がたっぷりと刺激される豊かな時間となりました。また、大人にとっても子どもと過ごす毎日へ沢山のヒントがあったのではないでしょうか。

●今後のワークショップについては劇場ホームページでお知らせします


  





世田谷パブリックシアター演劇部 中学生の部

2018/03/19更新

世田谷パブリックシアター演劇部 中学生の部

「演劇」を日常のなかに、あるいは「日常」を演劇にとりいれる

2月のある土曜日、世田谷パブリックシアターの稽古場に、学校も学年も様々な12人の中学生が集まり、「登場人物をつくる」というワークショップに取り組んでいました。ゲームのような自己紹介に始まり、ペアになって体を動かし、おしゃべりし、そして、この日のメイン、「登場人物をつくる」活動へと向かっていきました。

これは、2013年度から始まった中学生を対象としたワークショップ『世田谷パブリックシアター演劇部 中学生の部』でのひとコマ。 「学校に演劇部がない」、あるいは「違う部活に所属をしていて兼部ができない」。それでも「演劇をやりたい!」と思っている中学生たちが集まり、日常の生活では出会えない仲間と意見を交わし、 身体を動かしながら、そこから生まれるコミュニケーションをベースに演劇づくりをしています。

創部のきっかけは、当時演劇部のなかった、とある世田谷区立中学校の副校長先生が、部活で演劇をやりたいという生徒の要望を世田谷パブリックシアターに相談したことでした。
同じ頃、演劇部のある区立中学校からも「同じ教員が複数の部活の顧問を兼任していて十分な指導が難しい」などといった状態を聞いていた世田谷パブリックシアターは、これらを受けて区立中学校演劇部の活動支援を始めたのです。そしてこの支援をしていく中で、どうしても演劇部をつくれない学校があることや、演劇部に所属していなくても演劇に興味をもっている中学生が多くいることなど、様々な事情を知りました。 こうして、「学校個別の部活動」へ向けた支援から「演劇部であってもなくても、演劇に興味のある中学生たち全体」に向けた支援へとカタチを変え、『世田谷パブリックシアター演劇部中学生の部』となったのです。劇場が中学生に向けて「場所(稽古場)」と「演劇の専門性(スタッフ)」を提供し、ワークショップを通して中学生の今しかできない演劇をつくるサポートをしようという、公共劇場ならではの創造活動支援といえるでしょう。

もちろん、この演劇部は俳優養成所ではありませんし、そのための専門的なレッスンをするわけではありません。「台本が与えられ、それを読み、覚えて、舞台で表現する」という学校演劇のイメージとも異なります。ここでは、中学生の日常の生活のなかにある演劇的なものを探したり、自分や他者の言葉から演劇的な言葉をつむいだりしながら、演劇(的なもの)をつくっています。

舞台を観るのが好きだったり、演劇に興味のある中学生はもちろんですが、演劇をやったことがなくてもあまり演劇を観たことがなくても大丈夫。ふだんの生活のなかにあることが、すでに演劇づくりの一つの要素なのです。きのうまで全然知らなかった人といろんなことを話して、自分の思いを伝えたり、他人の気持ちを受け止めたりしながら、みんなでひとつの演劇をつくる。これって結構気持ちのいいものです。そんな体験を求めて、ぜひ『世田谷パブリックシアター演劇部 中学生の部』へアプローチをしてみてはいかがでしょうか。

演劇は日常にあふれています──。

『 世田谷パブリックシアター演劇部 中学生の部』は、1年間を第一期(5〜7月)、第二期(9〜11月)、第三期(1〜3月)に分けて実施しています。第一期は「演劇を構成する要素」、第三期は「中学生の興味・関心」をテーマに短期複数回のワークショップを、第二期では台本を用いずに参加者自身が考えて演劇作品をつくる、長期間のワークショップを実施しています。 これまでの第二期では、2013年度は古典『竹取物語』を自分たちの感覚で演劇作品にし、14年度は「お金」というテーマからオリジナルの物語『人類と金』をつくり、区立中学演劇部の発表会である世田谷区立中学校演劇発表会へエキシビションで参加、発表しました。

※これからの部員募集については、劇場ホームページやチラシをご覧ください。


地域の物語ワークショップ2017 レポート

2017/12/04更新

地域の物語ワークショップ2017 レポート
『生と性をめぐるささやかな冒険』<夏の終わりの夕涼み編>

「地域の物語」とは、地域に暮らすさまざまな人々と向き合い、物語を掘り起しながら、従来の形にとらわれない演劇をつくりあげるワークショップです。世田谷パブリックシアターが開場した1997年から継続しています。2017年9月には、2016年度のコースを担当していた進行役たちが集まり、<女性編><男性編>コースの合同編を企画。<夏の終わりの夕涼み編>と題し、性自認が女性の方、男性の方、どちらでもない方など、いろいろな方が集まって、あらたな「生と性をめぐるささやかな冒険」を始めました。進行役のおひとり、花崎攝さんにご報告いただきます。


『生と性をめぐるささやかな冒険』<夏の終わりの夕涼み編>
2017年9月4日、7日、8日(全3回)
進行役:柏木陽、関根信一、花崎攝、山田珠美

文:シアタープラクティショナー花崎 攝

<夏の終わりの夕涼み編>はトイレットペーパー・アートで始まりました。トイレットペーパー・アートなんて、そんなジャンルがあるのかないのか定かではありませんが、思いついて初めてやってみたのです。今回のワークショップのテーマは「曲がり角」でした。参加者のみなさんに、どうやって「曲がり角」についてのイメージを膨らませ、「曲がり角」についてのエピソードを表現してもらうか?そうだ、手始めにこれまでの人生を思い出し、トイレットペーパーで自由に表現してもらったらどうだろうと思ったのがきっかけです。

人生は道に例えられます。トイレレットペーパーは長く、直線ですが、簡単に折り曲げたり、破いたり、切ったり、丸めたりすることもできます。作業が始まると、あっという間に予想をはるかに超える圧巻の光景が出現!稽古場中に参加者の人生を表すトイレットペーパー・アートが張り巡らされました!まさかこれほど参加者の方たちの創造力がはじけるとは!



そして2日目には、「曲り角」にまつわるエピソードを発表してもらいました。出産時の話あり、恋人との別れ、在日女性との結婚の話あり、親子関係もあればED治療の話あり、未来にやってくるかもしれない子どもへの手紙にホスピスの話。期せずして、ひとの一生にわたる出来事の数々がエピソードとして語られました。並行してダンスも踊りました。懐かしの「ジェンカ」です。私は永六輔作詞、坂本九歌の「レッツ・キス 頬よせて・・・」にはどうも苦手意識を持っていたのですが、なかにし礼詞、青山ミチ歌のヴァージョンは、パンチが効いていて媚びがなくカッコイイのです。振り付けをアレンジして、みんなで息を切らして踊りました。

さて、3日目。ささやかな稽古場発表をしました。2日目の発表のなかから、参加者にシーンにしたいエピソードを選んでもらい、チームを作り練習しました。どうしたらそのエピソードがよりよく伝わるか、食事の時間も惜しんでギリギリまで工夫されていた皆さんの姿が印象的でした。直前のお誘いだったにもかかわらずお客様にもお越しいただき、3日で作ったとは思えないなかなかの発表になりました。

正直なところ、私は合同編に少し不安を抱いていました。これまで、男性編と女性編は発表の時以外は別々にワークショップを重ねていました。合同編になってもこれまでのようにのびのびと表現できるだろうか?ヘテロの人もいれば、LGBTの人もいる。以前からのリピーターもいれば、今回初参加される方もいる。ギクシャクすることはないだろうか?ところが、始まってみると、それは全くの杞憂でした。もちろん合同編への参加を希望された方たちだったからという条件付きですが、これまでの積み重ねのなかで、セクシュアリティについて隠す必要のない場、初めてでも臆することなく表現できる場になってきている手応えを感じました。多様な人たちと一緒に作業できることはどんなに豊かなことか!とても有難く感じています。




●地域の物語2018「生と性をめぐるささやかな冒険」発表会
2018年3月18日(日) シアタートラム  出演:ワークショップ参加者
※詳細は決まり次第、世田谷パブリックシアターのホームページでお知らせします。



ボランティアスタッフの活躍が支える

2017/09/10更新

ボランティアスタッフの活躍が支える
                    <こんなに大きな飾りつけも>

世田谷アートタウン『三茶de大道芸』

「三軒茶屋の街を舞台にしよう」をコンセプトに繰り広げられる世田谷アートタウン『三茶de大道芸』は、今年20周年を迎え、今や秋の恒例フェスティバルです。2000年より多くの方がボランティアスタッフとして様々な役割で参加し、フェスティバルを支えています。

主な活動は、事前に行う“かざりつけ班”と“手芸班”、またフェスティバル当日にお手伝いいただく“当日スタッフ”の3つに分かれて行われます。
“かざりつけ班”では、三軒茶屋の街を「アートタウン」に変身させるため、どのような装飾を行おうか?というプラン出しから実際の制作、取り付けまでをボランティアスタッフが行っています。飾り付けを行うエリアによって商店街の個性が異なるので、実際に街を歩いてリサーチしたり、商店街の理事さんと相談したり、地域密着型の活動を行うのが特徴です。デザインや工作が得意な方もいれば、工作は苦手だけど三茶が好き、引っ越してきたばかりなので三茶をもっと知りたくて、などなど、色々な方が集まっています。
“手芸班”は、商店街に掲げられているフラッグを材料としたリサイクルグッズを作製するグループです。リサイクルグッズはフェスティバル当日に配布し、集まった寄付金を東日本大震災の被災地へと送ります。“かざりつけ班”がいくつかのエリアに分かれて活動しているのとは対照的に、同じ時間に同じ場所に集まって、皆でおしゃべりしながら作業をします。「エコ」や「被災地支援」を目的としながら、近所の方々が集まるコミュニティサロンのような役割を目指しています。
そして“当日スタッフ”は、パフォーマーの付き人や通訳、商店街の会場のお手伝い、フェイスペイント、写真撮影など、本当に沢山の役割に分かれていて、それぞれが自分の得意分野を活かしながら活躍しています。中でもパフォーマーの皆さんに人気の「マッサージコーナー」は、ボランティアスタッフからの提案で生まれました。

こういったボランティアさんたちの力によって、フェスティバルの街並みが賑やかで心温まるアートタウンに変身していっているのです。
実際に参加してくださった方からは「大人の文化祭みたいで楽しい」「色々な世代、立場の人と友達になれる」「今まで知らなかった三茶を発見できた」といった声を、毎年たくさんいただいています。

●ボランティアスタッフの募集は、7月上旬より公式ホームページなどでお知らせします。