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空模様と民家――向井潤吉の民家日和
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世田谷文学館
「落語を楽しもう〜笑いを生み出してみよう」
近隣の子どもたちに「セタブン」に親しんでもらいたい――
そんな思いで2011年にはじまった芦花小学校との出張ワークショップは、これまで写真家や俳優たちと一緒にさまざまな創作活動を体験してきました。コロナ禍を経て、あたらしく落語をテーマにしたプログラムに挑戦。思い切り声を出して、演じて、皆で「笑い」について考えました。
「はみ出し者」を面白がる落語思考
落語教育家の楽亭じゅげむさんを講師にお迎えし、芦花小学校の4年生約170名が参加した1時間半のワークショップで、伝統芸能の「落語」の演じ方、くすぐり、人を笑わせる楽しさを学び、各自が演者として噺を表現します。
落語には周りから笑われる「はみ出し者」が登場しますが、早とちりしたり、世間の常識から少しずれているように思われたりすることは、多かれ少なかれ誰にでも経験があるのではないでしょうか。「笑い」とは何かを考え、「笑い」に通じる小さな個性「はみ出し者」を発見する過程は、他者理解に必要な「聞く力」を育むことにもつながります。
当日、会場には落語を知らない子どもが多くいるようにも見受けられますが、私たちセタブンの職員は「高座」や「めくり」、発表者用の「特製法被(はっぴ)」を準備し、いよいよスタート。
「ええやん!」を連発する子どもたち
はかま姿のじゅげむさんが登場。まずは、江戸時代から大衆に親しまれた「落語」を鑑賞するためのルールを学びます。大きな拍手、「待ってました!」などの掛け声を一緒に実践するうちに、子どもたちのテンションが高まります。
ワークショップでは自分が良いと思った時に親指を立てて「ええやん!」のリアクションを出します。隣の人が考えた芸名(例:なり亭サッカー選手)を見て「ええやん!」、面白いと思った友達のネタを聞いて「ええやん!」など、会場に「ええやん!」の声が聞こえはじめました。
演じて気づいた、人を楽しませるための「笑い」
じゅげむさんは「ドラえもん」をもとに普通の話と落語の違いを説明します。創作落語「ドラえもん」を演じはじめると会場の雰囲気ががらりと変わり、子どもたちの視線は高座に釘付けになりました。
グループワークで、どら焼きの食べ方やお茶の飲み方、のび太の部屋の襖を開ける所作などを練習します。特製法被を羽織って高座に上がった子どもは、すっかりドラえもんのキャラクターになりきって落語を演じ、観客の子どもたちからは「ええやん!」の掛け声がかかります。
続いて、じゅげむさんが落語の小道具である扇子と手ぬぐいの使い方を実演すると、子どもたちは鉛筆を使って蕎麦やうどんを食べる練習をはじめました。休憩後、古典落語の「時そば」ならぬ「時うどん」に子どもたちは真剣に聞き入ります。
各自でオリジナルの創作落語「時そば」を考案し、「前座」「中トリ」「大トリ」の順番で高座に上がります。発表は挙手制で、客席からは
「待ってました!」の声が上がりました。
特製法被には「わたしも落語のキャラクター/あなたも落語のキャラクター」という文字が染めてあります。各自がキャラクターになりきり、「くすぐり」と「オチ」のある会話を聞かせ合いました。
「『笑い』には色々あって、私たちの周りには人を傷つける『笑い』もある。落語の『笑い』は、意地悪なものではない」というじゅげむさんの言葉は、多くの子どもたちに強い印象を与えました。自分が楽しみ、他人を楽しませる「笑い」を考え、また、友達の落語から新しい視点での「笑い」に気づくことのできた時間となりました。 [文:世田谷文学館 宮崎京子]
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世田谷文学館
採用情報 更新日:2024.06.11
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